
【DHA】こんなにあるの!?ドコサヘキサエン酸(DHA)の健康効果
2024年1月28日
青魚のサラサラ成分でおなじみのオメガ3脂肪酸。以前、日本各地のスーパーで流されていた『おさかな天国』では「アタマが良くなる」「カラダにいいのさ」と歌われていましたが、大人の事情でしょうか?最近は聞かなくなりましたね。
オメガ3脂肪酸には、大きく分けてドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)、α-リノレン酸(ALA)の3種類があります。
それぞれ異なる作用がありますが、このページではドコサヘキサエン酸(以下、DHA)について見ていきましょう。
1. DHA(ドコサヘキサエン酸)について
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、私たち人間の体内で合成することが難しく、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸の一種です。
特に、脳や網膜に多く含まれており、脳の機能や視覚の発達に重要な役割を果たしています。
また、全身の細胞膜の主要な構成成分でもあり、体に良い働きを担っています。
2. DHAの効果
DHAは、私たちの体に様々な良い影響を与えてくれます。
・脳機能の向上
・視力改善
・心臓血管系の健康維持
・炎症抑制
・うつ症状の改善
それぞれの項目ごとに詳しく見ていきましょう。
2-1:脳機能の向上
DHAが脳機能を向上させるメカニズム
DHAは、脳の細胞膜の主要な構成成分です。脳細胞の膜にDHAが豊富に含まれることで、以下のような効果が期待できます。
・神経伝達物質の働きをサポート
DHAは、神経細胞間の情報伝達を円滑にする神経伝達物質の働きをサポートします。これにより、記憶力や学習能力の向上に繋がります。
・脳の可塑性を高める
脳の可塑性とは、脳が経験や学習によって変化し、新しい神経回路を形成する能力のことです。DHAは、この脳の可塑性を高め、新しいことを学ぶ能力を向上させます。
・脳の炎症を抑える
DHAには、脳の炎症を抑える働きがあり、神経細胞の損傷を予防します。
DHAが脳に与える具体的な効果
・記憶力・学習能力の向上
特に、子供の成長期には、脳の発達に欠かせない栄養素です。
子供の成長期にDHAが不足すると、脳の発達が遅れ、学習能力が低下する可能性があります。
・集中力の向上
DHAは、注意力を高め、集中力を維持する効果が期待できます。
・ストレス軽減
ストレスによって引き起こされる脳のダメージを軽減する効果が期待できます。
・認知症予防
アルツハイマー病などの認知症のリスクを低減する可能性が示唆されています。
2-2:視力改善
DHAが視力改善に役立つ理由
・網膜の主要構成成分
DHAは、網膜の細胞膜の主要な構成成分です。網膜の細胞膜にDHAが豊富に含まれることで、視覚情報の伝達を円滑にし、視力低下を予防する効果が期待できます。
・酸化ストレスからの保護
DHAには、強い抗酸化作用があり、活性酸素による網膜の酸化ダメージから保護する働きがあります。
・血流改善
DHAは、血液中のコレステロール値を下げ、血流を改善する効果があります。これにより、眼球への酸素供給がスムーズになり、視機能の低下を防ぎます。
DHAが視力に与える具体的な効果
・視力低下予防
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの視力低下を予防する効果が期待できます。
・ドライアイの改善
DHAは、涙液の分泌を促進し、眼球の表面を保護する働きがあるため、ドライアイの症状を改善する可能性があります。
・夜間の視力向上
DHAは、暗い場所での視力、つまり夜間の視力を向上させる効果も期待できます。
2-3:心臓血管系の健康維持
DHAが心臓血管系に及ぼす効果
DHAは、様々なメカニズムを通じて心臓血管系を健康に保つ働きがあります。
・中性脂肪の低下
DHAは、血液中の中性脂肪を低下させる効果があります。中性脂肪が高い状態は、動脈硬化のリスクを高めるため、DHAを摂取することでこのリスクを軽減することができます。
・血圧の安定
DHAは、血圧を安定させる効果があり、高血圧の予防や改善に役立ちます。
・動脈硬化の予防
DHAは、血管内皮細胞の機能を改善し、動脈硬化の進行を抑制する効果があります。
・血栓の予防
DHAは、血液が固まりやすい状態を改善し、血栓の形成を予防します。
2-4:炎症抑制
DHAが炎症を抑制するメカニズム
私たちの体は、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために、炎症という反応を起こします。しかし、この炎症が慢性化すると、様々な病気の原因となります。
DHAは、この慢性炎症を抑制することで、私たちの体を健康に保つ働きがあります。
具体的には、DHAは以下のようなメカニズムで炎症を抑えます。
・細胞膜の構成成分となる
DHAは、細胞膜の主要な構成成分となり、細胞膜の柔軟性を高めます。これにより、細胞膜が酸化ストレスや炎症物質から保護され、炎症反応が抑えられます。
・炎症性物質の生成を抑える
DHAは、炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンやロイコトリエンの生成を抑制します。
・抗炎症性物質の生成を促進する
DHAは、レゾルビンやプロテクチンなどの抗炎症性物質の生成を促進します。
DHAが炎症を抑えることで期待できる効果
・関節リウマチなどの自己免疫疾患の改善
DHAは、関節リウマチなどの自己免疫疾患による関節の炎症を抑え、症状を改善する効果が期待されています。
・アトピー性皮膚炎の改善
DHAは、アトピー性皮膚炎による皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減する効果が期待されています。
・心血管疾患のリスク低減
DHAは、動脈硬化などの心血管疾患は慢性炎症が深く関わっていると考えられており、そのリスクを低減する効果が期待されています。
・がん予防
一部の研究では、DHAががん細胞の増殖を抑え、がん予防に役立つ可能性が示唆されています。
2-5:うつ症状の改善
DHAがうつ症状を改善する可能性
DHAがうつ症状の改善に効果があると考えられる理由は、以下の通りです。
・脳の細胞膜を構成
DHAは、脳の細胞膜の主要な構成成分です。細胞膜の柔軟性を高めることで、神経伝達物質の働きを円滑にし、うつ症状に関わる神経回路の機能を改善する可能性があります。
・炎症を抑える
DHAは、体内の炎症を抑える働きがあります。慢性的な炎症は、うつ症状と関連していると考えられており、DHAがこれを改善することで、うつ症状が軽減される可能性があります。
・神経伝達物質のバランスを整える
DHAは、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスを整える働きがあると考えられています。これらの神経伝達物質のバランスが崩れると、うつ症状が現れることがあります。
DHAを摂取することで期待できる効果
・うつ症状の緩和
DHAを摂取することで、うつ症状が緩和され、気分が安定する可能性があります。
・不安感の軽減
不安感も、うつ症状に伴うことが多いですが、DHAがこれを軽減する可能性があります。
・睡眠の質の向上
うつ症状は、睡眠の質の低下を伴うことがありますが、DHAが睡眠の質を改善する可能性があります。
3. DHAを多く含む食品
DHAを効率的に摂取するためには、以下の食品を積極的に摂り入れることがおすすめです。
魚介類
DHAは、主に魚介類に多く含まれています。
鮭、マグロ、イワシ、サバ、アジなど、特に脂の多い魚に多く含まれています。
これらの魚は、DHAだけでなく、EPAという別のオメガ3脂肪酸も豊富に含んでいます。EPAも、心臓血管系の健康維持に重要な役割を果たします。
海藻類
わかめ、ひじき、のりなど、海藻類にもDHAが含まれています。
DHA含有食品
一部の乳製品や卵など、DHAが強化された食品も販売されています。
4. DHAを効果的に摂取するためのポイント
バランスの取れた食事
DHAだけでなく、他の栄養素もバランスよく摂取することが大切です。
酵素や乳酸菌を多く含む発酵食品等と一緒に摂取することで、消化吸収効率が高まります。
加熱しすぎに注意
DHAは熱に弱いので、揚げ物など高温で調理する際は、DHAが壊れないように注意しましょう。
DHAは、焼くと20%、揚げると50%も減少すると言われています。
サプリメントの利用
食事で十分な量を摂取できない場合は、DHAのサプリメントを検討することもできます。
5. まとめ
DHAは、私たちの健康維持に欠かせない栄養素です。
特に脳の機能や視力に良い影響を与え、様々な病気の予防にも役立ちます。
バランスの取れた食事を心がけ、積極的にDHAを摂取しましょう。