
【EPA】実はオメガ3の主役?エイコサペンタエン酸(EPA)の健康効果
2024年4月16日
みなさんはEPA(エイコサペンタエン酸)をご存知でしょうか?オメガ3脂肪酸の中ではDHA(ドコサヘキサエン酸)がメインで語られることが多く、オメガ3脂肪酸の機能のほとんどがDHA由来だと勘違いされていることも少なくないのではと思っています。
オメガ3系のサプリメントなどでよく言われている「血液サラサラ効果」、これ実はEPAの機能なのです。
今回は、実はすごいEPA(エイコサペンタエン酸)について見ていきましょう。
1. EPA(エイコサペンタエン酸)について
EPA(エイコサペンタエン酸)は、主に青魚の油に多く含まれるオメガ3(n-3系)脂肪酸の一種で、私たちの健康に欠かせない必須脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸の機能である「血液サラサラ効果」の主要成分であり、他にもDHAより強く作用すると言われている機能もあります。
2. EPAの効果
EPAは、私たちの体内で生活習慣病の予防に関わる働きをしてくれます。
・血液サラサラ効果
・中性脂肪の低下
・炎症抑制
・精神安定作用
・その他の効果
それでは、それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
2-1:血液サラサラ効果
EPAが血液をサラサラにするメカニズム
・血小板凝集抑制作用
血小板は、血管が損傷した際に集まって血栓を作ることで止血する役割があります。しかし、この血小板が過剰に凝集すると、血管が詰まり、動脈硬化や血栓症の原因となります。
EPAは、血小板の凝集を促す物質(トロンボキサンA2)の生成を抑制する一方で、血小板の凝集を抑制する物質(プロスタサイクリンI2)の生成を促進します。
このバランスを調整することで、EPAは血小板の過剰な凝集を抑制し、血液をサラサラにする効果を発揮します。
・血管拡張作用
EPAは、血管内皮細胞に働きかけ、血管を拡張させる物質(プロスタサイクリンI2)の生成を促進します。
血管が拡張することで、血液の流れがスムーズになり、血圧の上昇を抑える効果も期待できます。
・中性脂肪低下作用
EPAは、肝臓での中性脂肪の合成を抑制し、血中の中性脂肪値を下げる働きがあります。
中性脂肪が高い状態は、血液がドロドロになりやすく、動脈硬化を進行させる原因の一つです。
EPAは、中性脂肪値を下げることで、血液の粘度を下げ、サラサラにする効果を発揮します。
・その他
EPAは、赤血球の柔軟性を高める働きもあります。赤血球が柔軟になることで、血管内をスムーズに流れやすくなり、血液の粘度を下げる効果があります。
EPAが血管に与える具体的な効果
・動脈硬化の予防
EPAは、血小板の凝集を抑制し、血栓ができるのを防ぐ働きがあります。これにより、血管が詰まるのを防ぎ、動脈硬化の進行を抑制します。
・血栓症の予防
EPAは、血栓を溶かす働きを促進する効果もあります。これにより、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症のリスクを低減します。
・高血圧の改善
EPAは、血管を拡張させる作用があり、血圧を下げる効果が期待できます。
これらの複合的な作用によって、EPAは血液をサラサラにし、動脈硬化や血栓症などの生活習慣病の予防に役立つと考えられています。
2-2:中性脂肪の低下
EPAが中性脂肪に与える効果
・脂質異常症の改善
EPAは、肝臓での中性脂肪の合成を抑制し、血中の中性脂肪値を下げる働きがあります。これにより、脂質異常症の改善に役立ちます。
・メタボリックシンドロームの予防
EPAは、中性脂肪を低下させることで、メタボリックシンドロームの予防にもつながります。
2-3:炎症抑制
EPAが炎症を抑えることで期待できる効果
・関節リウマチの症状緩和
EPAは、炎症を引き起こす物質の生成を抑制する働きがあります。これにより、関節リウマチの痛みや腫れなどの症状を緩和する効果が期待できます。
・炎症性腸疾患の症状緩和
EPAは、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)の炎症を抑える効果も期待できます。
2-4:精神安定作用
EPAを摂取することで期待できる可能性
・うつ病の予防・改善
EPAは、脳の神経細胞の機能を改善し、精神安定作用をもたらす可能性があります。うつ病や不安障害などの精神疾患の予防や改善に役立つことが示唆されています。
・認知機能の改善
EPAは、脳の神経細胞の機能を改善する働きがあり、認知機能の改善にもつながる可能性があります。
2-5:その他の効果
・ドライアイの改善
EPAは、涙の質を改善し、ドライアイの症状を緩和する効果が期待できます。
・アレルギー症状の緩和
EPAは、アレルギー反応を抑制する効果があると考えられています。
血液サラサラ効果はもちろんのこと、「中性脂肪の低下作用」と「炎症抑制作用」はDHAよりも作用が強いと言われています。
3. EPAを多く含む食品
EPAを効率的に摂取するためには、以下の食品を積極的に摂り入れることがおすすめです。
魚介類
EPAは、主に魚介類に多く含まれていますが、特に青魚に多く含まれています。
・青魚
サバ、イワシ、アジ、サンマなど。
・その他の魚介類
マグロ(特にトロ)、ブリ、カツオ、サケ、ウナギなど。
・その他
亜麻仁油やえごま油は直接EPAを含んではいませんが、豊富に含んでいるα-リノレン酸(ALA)が体内で一部がEPAやDHAに変換されます。
しかし、ALAからEPAやDHAへの変換は限定的で、一般的に少ないと言われています。
4. EPAを効果的に摂取するためのポイント
・青魚を積極的に食べる
週に2回以上、青魚を食べるように心がけましょう。
・調理方法を工夫する
煮魚や焼き魚は、EPAが油と一緒に流れ出てしまう可能性があります。刺身やマリネなど、生で食べる方が効率的に摂取できます。
・植物性食品も活用する
アマニ油やエゴマ油は、サラダや和え物にかけるのがおすすめです。
・サプリメントも選択肢
食事だけで十分なEPAを摂取できない場合は、サプリメントも利用できます。
注意点
・酸化に注意
EPAは酸化しやすい性質があります。加熱調理する場合は、できるだけ短時間で調理するか、酸化しにくい油を使用しましょう。
・過剰摂取に注意
EPAは、血液をサラサラにする効果があるため、出血しやすい体質の人や、血液凝固抑制剤を服用している人は、摂取量に注意が必要です。
5. まとめ
DHAを中心に語られることが多いオメガ3脂肪酸ですが、EPAも私たちの健康維持に欠かせない栄養素です。
特に血液や血管の健康維持や病気の予防に役立ちます。
バランスの取れた食事を心がけ、積極的にEPAを摂取しましょう。